糸魚川翡翠とは
新潟県糸魚川市は古墳文化の最古の地。
古墳等から出土する翡翠製品のほとんどは糸魚川産翡翠で製作されたとされています。
翡翠は国内各地での産出が確認されていますが、糸魚川産のものは質・量ともに日本随一。
姫川上流の小滝地区と青海川上流の橋立地区はその産地として特に有名です。
世界最古の翡翠がある場所も糸魚川です。
約5億2000万年前にできたとされており、古くは縄文時代には翡翠の加工が行われていたようです。
しかし糸魚川産翡翠には多くの謎も残されています。
奈良時代に突然その使用が途絶えた後、昭和初期までの1200年間その存在が忘れ去られたという歴史があるのです。
昭和初期までは、古代遺跡から発掘される翡翠がどこから来たのかは謎に包まれており、海外の翡翠ではないかという認識が一般的でした。
しかし1938年に糸魚川市で翡翠が発見され、各遺跡から発掘されていた翡翠は糸魚川産翡翠であったことが明らかになったのです。
その後、糸魚川市では翡翠の採掘が行われるようになりましたが、文化財保護の観点から1956年には国の天然記念物に指定され今に至ります。
わずか20年前後の間しか採掘を許されなかった糸魚川産翡翠。
採掘禁止の鉱物となり、新たに市場に出回らなくなったことで糸魚川翡翠の希少価値はさらに高まりました。
今私たちが手にすることができる糸魚川翡翠は、まだ採掘が可能だった頃に産出された稀少なものなのです。
そもそも「翡翠」とは鳥のカワセミのことで、その美しい羽根の色に例えて石にその名が名前が付けられました。
呼び名の由来の通り、翡翠と言えば美しい翠色(緑色)を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし翡翠を構成する翡翠輝石はそもそも純白色で、少量のクロムや鉄を含んだ場合に緑色となります。
含まれる成分によっては紫色や青色、黒色などになり、その美しい色合いは多くの人々を魅了しています。
糸魚川産翡翠は、日本で唯一の、そして世界でも有数の「宝石質翡翠」としてその質の高さが認められています。
多くの古代勾玉もこの糸魚川翡翠で作られており、出雲大社保有の勾玉も例外ではありません。
「糸魚川産翡翠」日本の歴史を語るうえで非常に重要な石であり、同時に大きなロマンを抱いた神秘の石なのです。